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オルタナティブにいきたい。

取り留めのないことを取り留めなく書き留めるブログ

俺ガイル考察:わかるものだとばかり、思っていたのね

 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9』を読み終わった。  

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9 (ガガガ文庫)

 

 

 読み始めたら止まらないくらい面白くて、色々考えたのであーだこーだ言いたいと思う。一応これから書くことは内容について触れると思うので、これから読もうとしてる人が万が一ここに漂流してきた時のために「ネタバレを含む記述があります」と書いておきます。そんな心配いらないと思うけどね!

 

 まず一番気になっていたのは、雪ノ下の「わかるものだとばかり思っていたのね」という発言。

 比企ヶ谷は文化祭で平塚先生に「君が傷つくのを見て、それを痛ましく思う人間もいる」と言われた後、修学旅行で雪ノ下「あなたのやり方嫌いだわ」と言われている。さらに由比ヶ浜には「人の気持ち、もっと考えてよ」と、ここまで見れば比企ヶ谷の”自己犠牲による問題の解決”が責められているということがわかる。

 そして生徒会長選挙。比企ヶ谷が最初に提示した解決方法は今までと変わらないもので、それを雪ノ下は否定した。その意見の相違から雪ノ下と由比ヶ浜側と比企ヶ谷側で別々の行動を取るようになり、最終的には3人がそれぞれの手段で問題の解決に取り組んだ。そんな中で比企ヶ谷が妹の小町を理由にして出した解決方法は、手段の良し悪しはともかく”自分が傷つく”という点をうまく排除した結果となった。

 これで比企ヶ谷のやり方の問題点は、拙いながらも解決できたかのように見える。実際のところ、由比ヶ浜はその結果を受け入れ、部を存続させてくれたことに感謝している。

 でも雪ノ下は違う。この一件から奉仕部の活動の中で何かを諦めてしまい、奉仕部の雰囲気を変えてしまう。問題は解決されたように思えて、どこかをまちがえてしまった

 

 一番分かりやすく示されているのが、”雪ノ下は生徒会長をやりたかった”という可能性。

 

 本当はやりたかったけど、比企ヶ谷の行動によって阻止された。めぐり先輩が思い描いた生徒会像や、由比ヶ浜の「生徒会長やりたかったのかな」と言う描写もあって、どのくらいの気持ちがあったかは分からないけど雪ノ下は生徒会長になることに意欲はあったと思われる。

 ただ、それが叶わなかったから諦観したのか、と言われればそれは違うように思う。

 その理由として、雪ノ下は最初は葉山に生徒会長をやらないかと打診していた。彼女自身が生徒会長に立候補すると言い出したのは、葉山に打診しようとした時に居合わせた姉の陽乃に焚きつけられた後だ。それは一種の強迫観念めいたもので、生徒会長になっても部活は続けるとは言ったものの、文化祭の時の経験から無理をしてしまう彼女を知っていたからこそ比企ヶ谷と由比ヶ浜はそれを阻止しようとした。

 その結果、生徒会長になれなくて雪ノ下が奉仕部に諦観の念を抱くとは思えない。もちろん理由としてはこれもあるとは思うけど、彼女のあの一言が、これだけのことだとは考えづらい。

 じゃあ他にどの理由があったのか。それがこの9巻で比企ヶ谷が「本物が欲しい」と言うまでの彼の自問自答の中にあったと思う。

 

つまり雪ノ下は修学旅行の時、比企ヶ谷の”自己犠牲による問題の解決”を嫌ったのではなく、”自分を傷つけてまで自分の信念を裏切る行為を容認した”ことに怒りを感じたのだと考えれば、納得がいく。

 

  文化祭での比企ヶ谷は、相模らの問題に対して糾弾した。しかし修学旅行では戸部の告白で変わる葉山たちの関係について、「それで壊れるくらいならもともとその程度のもの」という考えを持ちながらも、彼が欺瞞だと感じていた関係の現状維持を認めた。

 そして生徒会長選挙。文化祭を時の雪ノ下を見てきたからこそ彼女の身を案じる面もありながらも、小町を理由に奉仕部を維持させた比企ヶ谷。そのすべてを彼女は知らないとは思うが、彼女もまた「それで壊れるくらいなら~」と似た考えを持っていたなら、生徒会長になることによって奉仕部の関係がその考えによって試される状況となり、それを彼が避けたように捉えることもできる。それは今までの比企ヶ谷らしからぬ行動であったと言えるのではないか。

 

 となると、本当は生徒会長がやりたかったという理由では、「(私のことが)わかるのもだとばかり」というような意味合いになるのに対し、比企ヶ谷らしからぬ行動に諦観したとすれば「(あなたのことが)わかるものだとばかり」という意味合いも含まれてくる。前者だけではなく、後者の意味合いも含まれて、初めて雪ノ下のこの台詞は出てきたのではないか。

 

 実際のところ、これで全部腑に落ちたという感じはしない。もしかしたらこの台詞に明確な答えは無いのかもしれないけど、この台詞のおかげで奉仕部という関係について考えを巡らすことができ、この次もまた読みたいと感じた。

 

うわなにこの記事なげぇ。