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オルタナティブにいきたい。

取り留めのないことを取り留めなく書き留めるブログ

遠き山に日は落ちて

 貴志祐介新世界より下』、渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている10.5』、読み終えました。ページ数に差はあるものの、どちらも一気に読んでしまった感じがします。特に『新世界より』はこの下巻を温存してただけあって、ストーリーが動き出すと夢中でページを捲ってました。今回は一応ネタバレ注意で。

  

新世界より(下) (講談社文庫)

新世界より(下) (講談社文庫)

 

 

  1000年後の日本が舞台と言われると、どんな世界を思い浮かべるだろうか。今よりもずっと未来の話となると、想像しやすいのは当然科学が発展し、新たな技術によって発展した世界だろう。しかしこの新世界よりで描かれているのは、船で川を移動するのが主な交通手段であるような現代よりも技術の衰退した世界である。なぜそんな世界になったのかはぜひ小説、あるいはアニメなどで見てもらいたいが、ここで特筆したいのはこの世界の人間は現代の人間とは違い、「呪力」という念動力を持っているということだ。

 本作は主人公、渡辺早季の手記という形で彼女視点で語られる。呪力を授かり、普段は出ることのない八丁標と呼ばれる町と外を隔てる仕切りから、夏季キャンプという教育の一環で出た際に遭遇した出来事を発端に、徐々にこの世界への疑念を募らせる。彼女が成長するにつれて、今の社会が多くの犠牲や悲惨な過去の経験から試行錯誤の果てに、やっとの思いで作り上げられたことが明かされるが、下巻ではそれでさえも脆弱であると思い知らされる。

 読んでいてまずこの世界観に惹きこまれた。未来の世界を読んでいるのに随所に感じるノスタルジックな雰囲気、ストーリー上重要な存在となるバケネズミ以外にも独特の進化を遂げた生物たち、呪力を持つ人間たちが平和な社会を築くまでの経緯を徐々に知ることになる早季たちとともに、読者側もこの世界への理解を深められるような感覚は上中下巻というボリュームで余すことなく楽しむことができた。

 ちなみに、タイトルの由来となったドヴォルザーク交響曲第9番『新世界より』の、作品の中でも登場する第2楽章の『家路』はこちら。

 


ドボルザーク 「新世界より」 家路 From the New World - Largo.wmv - YouTube

 

 自然教室などで歌ったことがある人も多いと思う。まさにこの楽曲のイメージを作者の解釈によってストーリーを作り、そこから独自の観点で展開させたような作品。ぜひこの壮大なスケールの世界観を味わってほしい。そして俺はそれを誰かと共有したい。シェアしよ、シェア。

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10.5 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10.5 (ガガガ文庫)

 

 

 俺ガイルシリーズの遅れてきたヒロイン、一色いろはメインの短編集。ただ短編集とはいっても、時系列順に並んでいて前の話での出来事が関係していたりして、通して一つの物語として読むこともできる。

 サッカー部のマネージャーで生徒会長の彼女が奉仕部に入り浸っている。ちょっとまってサッカー部どうしたの。困ったときは葉山に助けてもらえってヒッキーに言われてそれを受け入れたくせに、何かと言い訳してもっぱら頼ってるのはヒッキーなのはやっぱりあざといと思います。あざといことを見破られてもあざといのがいろはすいろはすかわいい。

 番外編でページも少なめながらも十分に俺ガイルを楽しめる一冊。特にいろはす好きは読んでおこう。後輩っていいよね。うん。