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オルタナティブにいきたい。

取り留めのないことを取り留めなく書き留めるブログ

正しい原チャリの盗み方

読書感想 ライトノベル イリヤの空、UFOの夏

 秋山瑞人イリヤの空、UFOの夏』その1とその2を読み終わりました。タイトルは2巻に渡って描かれた章題から拝借。原チャリを一度盗まれた身としては、複雑な感情が芽生えそうなタイトル。作中ではイモビライザーがどうのこうのという内容だったけど、こっちは鍵挿しっぱ。そりゃあ盗るって。

 1巻目から『その1』とナンバリングされているのは、本書が電撃hpという小説誌に連載されていたものに編集を加えたもので、『その1』発売当初は連載自体もまだ続いていたという理由だと思われる。電撃大賞などで受賞した作品なんかだと、「応募作品として完結させるけど、もし続巻が出せるようになれば続きも書けるような内容」という形をとるため、1巻目にはナンバリングされないことが多い。そう考えるとちょっと珍しい。

 話が凄く脱線するけど、「意味が分かると怖い話」で、遊びまくってるけどテストで満点取る友達が未来予知できるっていう根拠が、まだナンバリングされていなかったドラクエを「ドラクエ1」と言ったからだっていう話があったけど、果たしてそれ怖いかと。というか「意味が分かると怖い話」はどちらかというと、その叙述トリック的なことをしようしようとしている雰囲気が文章中に現れ過ぎて、気味悪い文章になっている話が時たまあってそっちの方が怖い。父に水銀盛られてよくそんなこと考える余裕あったな。

 まぁ、というわけで感想書いていきます。少し内容に触れます。でもネタバレってほどでもないです。オーケー?ユーアーグレイト!レディゴー!

 

 

 イリヤの空、UFOの夏 その1

 

イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)
 

 

 学生時代の時からの友人がこの本を「好きだ」と言ってたので、興味はあったもののなかなか読むきっかけを掴めずにいた。夏前に実家に帰り、一人暮らししていた所と比べると出掛けるのに不便になったことにフラストレーションが溜まり、家から少し離れているけど近いと言えば近い古本も扱う書店に行くことで気分を紛らわすことが増えたとき、古本でこの本を見つけた。

 全4巻、1冊100円だった。でも悲しいことに、今その100円でさえも使うのを躊躇するくらいの経済状況で、買うのをためらっていた。そしてある日、ファニーなフレンドのイサオさんと仙台へ出かける途中、「イリヤの空、UFOの夏って知ってる?」と話題に出たので、ああもうこれ読もうと決意した。

  そんな長い道程を経て読み始めた第1巻。夏休みの間、新聞部の活動で園原基地の裏山にずっと籠もっていた(正確には何度か下山して帰宅もしてる)浅羽直之が、夏休み最後の夜に学校のプールに忍び込む。するとそこに伊里野加奈という先客がいて…という王道のボーイミーツガールな内容。その後伊里野は浅羽のクラスに転校してきて、彼女の正体を知ろうとする浅羽、といった具合にストーリーが展開されていく。

 伊里野の存在を通じてそのバックにある園原基地の実態を匂わしたり、起きそうで結局起きない戦争というところで、今後大きな何かが起きそうだなという期待が募る。まぁ匂わしたり起きなかったりなので日常描写のほうが多くなっているんだけど、ここで新聞部部長の水前寺邦博が異質ながらも中学3年生にしてはただものではない雰囲気を醸し出していて、それが前者とどう関わっていくのかも興味深い。

 そしてボーイミーツガールと言ったら外せないボーイとガールの関係だけど、伊里野という人物が感情を押し殺してる面もあり、進行したと思ったらそうでもなかったり、いやでもやっぱ進んでる?みたいな不明瞭さがあって、これもどんなふうに発展していくのか楽しみなところ。

 内容と関係ないところで言えば、ライトノベルではあるけど地の文がしっかりしてたり専門用語が出てきたりでなかなか読みごたえがある。そしてラノベ特有の挿絵がない。表紙を捲ってすぐにある折り込みのカラーページと、章の初めにはイラストがあるが、読んでいる場面を描いた挿絵は存在せず、それでも地の文での描写がしっかりしていていてあまり気にならない印象。

 

 イリヤの空、UFOの夏 その2

 

イリヤの空、UFOの夏〈その2〉 (電撃文庫)
 

 

 『その1』で綴られた『正しい原チャリの盗み方 前編』の続き、『正しい原チャリの盗み方 後編』から始まる。伊里野とのデートの終盤、彼女の過去を断片的に聞くことになった浅羽、その後、伊里野の早退が多くなり、登校することも少なっていくが、そんなことはお構いなしに園原中学校という規模を超えた学園祭である「旭日祭」の開催が迫ってくる。そんな中、浅羽への正体不明の気持ちを抱えるクラスメイトであり新聞部員の須藤晶穂についての描写も増え始めて、やはり王道の三角関係ながらそれがどうなっていくのかという面でも期待を募らせていく。

 実は今のところ晶穂派だったりする。なんだかんだおせっかい幼馴染系のヒロイン需要は、やっぱり根強いんじゃないだろうか、どうだろうか。まぁ幼馴染ではないんだけれども、晶穂が浅羽に対して正体不明の感情を抱くようになった経緯も語られていて、ささやかながらこの展開も気になってくる。でもおせっかい幼馴染系ヒロインってだいたいフラれるよね、っていうかタイトルがもう『イリヤの空』だもんね。敗色濃厚すぎる。

 まぁでも実る恋とば実らない恋の両方あると、感情移入のしやすさはぐっと上がると思う。もちろん主に期待してるのはメインヒロインとの進展とか、その過程の美しさみたいなものだろうけど、実らない恋ばっか腐らせてきた身からすればサブヒロインの失恋というのも共感できたりするわけで、ただただ失恋させればいいっていうわけじゃなくて失恋するのに相応しいほどの感情っていうのもサブヒロインには求められてたりするんじゃないだろうか。意外としっかり要求されて、しかもその結果は実らないと来た、サブヒロイン可哀そう過ぎだろ。…はっ、そういう方向でも感情移入を誘ってくるつもりかっ。

 そしてこの2巻では、どんどん「これから何か起きそう」感の匂いが強まってきます。何度もニュースで情勢が伝えられる描写、それを気にも留めない登場人物、なかなか学校に来ることのできない伊里野。…そろそろおっぱじまるだろこれ。旭日祭でのバカ騒ぎも、つかの間であるように思えて仕方ない。果たして『その3』では何が起こるのか。楽しみにして読もうと思います。

 

 

 

 と言いつつも『イリヤの空、UFOの夏』を読むのは一旦置いて、違う本を読もうと思うけど次何がいいかなぁー、そろそろ手持ちの伊坂幸太郎の本は全部読み切っちゃおうかなぁ。迷うけど次はたぶん『スカイ・イクリプス』です。空つながりで。